生きものの記録

What the Birds Knew (2012)

ウランガラス、ワイヤー、ブラックライト

5.2 m x 3 m x 3 m

米谷 健+ジュリア 展示会「What the Birds Knew」インタビュー by Das Platforms

「その大地を掘り起こすならば、地中からたちまちのうちに巨大な緑蟻が現れ、世界を踏みつぶし破壊してしまうだろう」──「緑蟻の神話(ドリーミング)」より

本作品は、オーストラリア北部ノーザンテリトリーに、古くから伝わる先住民族アボリジニのドリーミング(神話/教え)の現地調査、取材を経て制作したものである。1970年代、ノーザンテリトリーのナバレクで、濃度の高いウラン鉱が発見された。その地域は、先住民族の伝承「カボ・ジャン(緑蟻ドリーミング)」で知られる場所であった。白人によってウランが発見された当初、先住民達はその採掘に反対の立場をとったが、最終的には押し切られるかたちで、1970年後半からナバレク鉱山の掘削が開始。採取されたウランは日本にも輸出され、原子力発電の燃料となった。

グンウィングアン語族(Kuwinjku族含む)の土地と伝統に敬意を払い、緑蟻伝説の叡智を共有させて頂いたことに謝意を表す。なお、本作タイトルは、黒澤明監督作品「生きものの記録」より引用。

森美術館蔵(シャーマンファンデーションより寄贈)