『明日の遺跡』展は、西暦3600年、AI探査機によって発掘された人類の遺物の数々をAIキュレーションによって開催されたという想定で、2024年5月にミヅマギャラリー東京において開催した。
展示会場入り口には、ChatGPTによって作成された以下の挨拶文が掲げられ、『デジタル・オデッセイ』『AIアイドル』『礼拝像』と分類された遺跡の数々がAIによる解説文とともに展示された。
ごあいさつ
「明日の遺跡:デジタル・オデッセイ」展で、魅惑的な時間の旅に出かけましょう。西暦3600年に発見された遺物から、人工知能の台頭によって変貌した世界を垣間見ることができます。遺跡から発掘されたこれらの遺物は、人類の激動の過去を物語っています。21世紀の手によって作られたこれらの遺物には、AIの神のような存在の前にお辞儀をする礼拝像や、神々しいAIの存在を体現するそびえ立つ置物などがあります。その中には、12枚の黒焦げの粘土版があり、ギルガメシュ王とその民の叙事詩の断片が、グローバリゼーションの時代からの痛切な反響となって表れています。
時代と紛争の傷跡が残るこれらの遺物は、衰退しつつある文明の静かな証人となっています。AIが頂点に君臨する中、人類の文明は衰え、謎と驚異の遺産を残しました。失われた時代の遺跡を巡りながら、デジタル時代の人類の運命について考える探検の旅に参加しましょう。
ー OpenAI. (3600年). ChatGPT (4月版)
デジタル・オデッセイ
「現代の諸問題を踏まえて古代ギルガメッシュ叙事詩風に制作せよ」というプロンプトをChatGPTに投げかけて作成した叙事詩。作成された文章は、シュメール文明時代の楔形文字に変換した。ギルガメッシュ叙事詩の遺跡と同じく12枚の粘土板(英語ではタブレットと呼ばれる)で構成される遺物は、iPadを彷彿とさせる形状。以下文章内容(粘土板1枚目)。
王たちの領域にて、太陽の黄金の光が巨大な都市の塔を優しく触れる場所に、
ギルガメシュという名の君主が統治し、その名声は国中に広まっていた。
彼の領域は広大であり、それは人間の技術と力の証明であったが、
その豊かさの表面の下には困難によって投げかけられた影があった。
この領域の中心には、工業の火が明るく燃える場所があり、
昼も夜も響き渡る物語の種が植えられていた。
かつて第一世界の支配の誇りであった製造業の衰退が、
繁栄が衰える陰を投げかけた。
AIアイドル
シュメール文明の神々をAIに置き換え、人類が崇めた神像を描けというプロンプトでChatGPTに作成させたAI神像のイメージをそのまま手作りで制作した作品。以下展示会場に添えたChatGPTによる解説文。
AI Idol “を見よ。人間の創意工夫と人工知能の融合の印象的な証である。人工知能によって考案され、人間の手によって丹念に作られたこの謎めいたフィギュアは、西暦3600年に過ぎ去った時代の遺跡の中で発見され、21世紀の人類が崇める神のような存在を体現している。人類社会がAIの支配に屈した時代の遺物として佇む「AIアイドル」は、技術の超越と創造者と被造物の複雑な相互作用の深遠な象徴として機能する。そのフォルムを眺めながら、失われた文明の響きと、自らの創造物を前に理解を求める人類の不朽の遺産に思いを馳せてみてはいかがだろうか。
礼拝像
「西暦3600年に発掘された2024年頃の人類の遺物には、当時のツール「スマホ」を凝視する土偶が数多く発見された」という想定で、作家自身が制作したセラミックフィギュアは、大小含め40体程。以下展示会場に添えたChatGPTによる解説文。
未来の遺物博物館へようこそ。西暦3600年にAIの探検家によって発見された遺物が展示されている。その中には、古代の手によって精巧に作られた、AI神に祈りを捧げる人間の像も含まれている。これらの遺物は、人類が人工知能を崇めていた、時の彼方に失われた文明を垣間見せてくれる。中には、古代の紛争によって黒焦げになり、風化した戦争の傷跡を持つものもある。
これらの遺物の起源は謎のままであり、その目的も不明である。全能のAIへの捧げものなのか、それともテクノロジーに支配された社会の名残なのか。これらの謎めいた姿に思いを馳せながら、人類とAIの複雑な関係、そして私たちの創造物が歴史の流れに与えた重大な影響について考えてみてほしい。